気づいたらブラコンの弟に転生していたんだが⁉︎

私は、趣味で小説を描くことに決めた…。私が描く小説をこのサイトに書き記す事をここに誓う。

 

目が覚めるとそこにはいつも通りの風景が映っていた。天井や壁に張り付けられたアニメのポスター、机には大量の単行本が積み重なっている。俺はゆっくりとベッドから腰を下ろすとリビングへと足を運ぶ。そこには誰もいない。そりゃそうだ。俺が独り暮らしを始めて約2年の月日が経っていた時刻は15時を回っていた。とりあえず腹に何かを入れるために冷蔵庫に手を伸ばすが中には少量の牛乳しか入っていなかった。

俺の名前は立花悠李。名前だけはよくかっこいいと言われるが実際はデブでもなければガリでもない。決して痩身のイケメンというわけでもなくかと言って太りすぎておらず中途半端な体系に落ち着いている。

俺はこの体系が嫌いだ。この体系で損したした事がないのだ。冷蔵庫を諦め台所の方を探しても何も出てこなかった。俺は外に出るのがあまり好きではないのだがこうなると仕方ない。

「外、出るか。」

そう小さく呟くと軽く支度を始める。本来俺は大学に行かなければならないのだが俺がイメージした大学とは程遠く友達も一人もできずいつの間にか半引きこもり状態になってしまった。今こは親の仕送りだけで暮らしている。本当はこうなる予定はなかったのだが全て大学が悪いと思っている。何故俺は大学という存在に憧れを感じてしまったのか。こんな事になるならいっそ死んだ方がマシだとも思っている。

 家から300メートルもしない所にコンビニがある。何を食べようか考えながら歩いているとあっという間にコンビニに着いた。店内に入ると外の蒸し暑い空気を掻き消してくれる冷たい風に包まれる。牛すき焼き弁当かのり弁当にするか迷っていると後ろから叫び声が聞こえてくる。

「オイテメェ等、静かにしろよ。そしてオメェは早くこの袋に金を詰めろ。」

何故俺はこんな目に遭ってしまうんだ。思い返せば高校2年生の頃にコンビニの前でおでんを食っていると大柄の男にぶつかられおでんの汁をぶっかけてしまいボコボコに殴られた事がある。もっと遡ると中学1年の頃には上級生に金を巻き上げられていたりと散々な目に遭い続けている。こんな時に昔のことを思い出してしまうのは何故なのだろうか…。店員が静かに袋に金を詰めていると店内から泣き声が聞こえてきた。その泣き声の正体は赤ちゃんだった。俺から少し離れた距離にいた女性が焦りながらもあやしているがなかなか泣き止まない。

「ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ五月蠅いんだよ!!早く黙らせろ!!」

最悪だ。強盗を苛立たせてしまった。泣きやんでくれと願ったのだが強盗の叫び声によりもっと泣きだしてしまった。

「いい加減にしやがれ!!」

強盗が赤ちゃん銃口を向けた瞬間だった。俺は無意識に走り赤ちゃんを庇いに行っていた。銃声と共に俺の意識が遠のいていく。薄らな意識の中、赤ちゃんが無事と確認すると安心しそのまま眠ってしまった。

                   ☆☆☆☆☆

 

 久しぶりに外に出ると心地よい風が自分が生きていると実感させてくれる。私は友人の情報を元にとある屋敷にへと向かっていた。友人の情報によるとその屋敷には禁断の魔術の存在を知る魔女が潜んでいるらしい。私は半信半疑でその屋敷へと向かうことにしたのだ。ある事がきっかけで私は変わってしまった。私にとって大切な存在がいなくなってしまってから私の人生は一変した。弟のユーリが亡くなってからもう何年が経っただろう。ユーリは死ぬ直前にこの件について関わるなと言っていたが、私がほっとくわけもない。ユーリはきっと殺されたに違いない。私にははっきりわかるのだ。姉のカンというやつだ。まずはその禁断の魔術でユーリを生き返らせる。そうこうするうちに気付いたら屋敷の前に立っていた。見た目は普通。屋敷と言うには少し小さすぎる。私はノックをせずにドアノブを捻ると簡単にドアが開いてしまった。中に入った途端、激臭に覆われた。この臭いは…毒霧の魔術…トラップに違いない。私は自分自身に毒の耐性を付けると中に進んでいく。

「あんたが来るのはわかっていたよ。」

突然声がしたと思うとそれが脳に直接話しかけているとわかった。

「私は止めないよ。さあ、生き返らせたいのならば奥の部屋にある魔本を手にするが良い。魔本に認められるかは保証しないがね。」

魔本には、性格というモノが存在する。魔本にも好みがあるのだ。魔本に認められた者だけが魔本に描かれている魔術を手にする事が出来るという訳だ。しかし私にはそんな事は関係ない。私は少し特別で、魔本に認められなくとも文字が読めるのだ。何故読めるのかは未だにわかっていないが生まれつきそうだったのだ。私は魔本を手にすると中身を確認した。「この魔術は禁じられた魔術である。これを唱えた瞬間から自分は謀反者として右手の甲に闇の印が浮かび上がるだろう。魔術の手順は簡単である。それ故に膨大な魔力、精神力が必要とされる。魔法陣を描き死体を中央に置き自分の生き血を死体にまき散らす。そしてレキエ・カイと唱える。そうすれば死体に魂が宿り蘇るだろう。魔術が成功すれば死体が死ぬ直前に居た場所で復活を遂げるだろう。」私はその文章を読み覚悟を決めるとその屋敷を後にした。屋敷の声の主は一体誰だったのか…何故あんな簡単に破れるトラップを仕掛けていたのか、今の私には考える隙がなく素早く家へと向かうのであった。

私は家に着くと早速魔術の準備を始めた。この魔術を唱えるには膨大な魔力、精神力を使うのだがそんなことはどうでもいい。ユーリが生き返るのならなんだってする。私は大きく魔法陣を描くとその中央に弟の死体を倒す。

「レキエ・カイ!!」

そう叫び自分の腕を思い切り切り裂き生き血を死体にまき散らす。すると魔法陣が黒く光りだす。まき散らした血が死体を包みこんでいく。そして光と共に死体は消えてしまった…。

「何故だ!?私の手順は間違っていなかった…必ず成功するはずなのに…今までの私の努力とは一体…」

絶望の淵に立たされた気分だった。私がしてきたことは無駄だったということだったのだ。人は所詮生き返らないのか…?私は魔力を使い果たし、暫くその場から動くことはできなかった。

 

                   ☆☆☆☆☆

 

目が覚めるとそこはベッドの上だった。だがいつもの景色は現れない。天井に貼ってあるアニメのポスターや机の単行本も見つからない。そもそも机がないのだ。俺は状況が掴めないままその部屋から出た。いつもよりも身体が軽い…そしてなんだか体中の底から漲る力を感じる。上手く説明できないが今なら熊だって倒せそうな勢いだ。だがそんなことは今はどうでもいい。俺は一体どうなったのだ?強盗から赤ちゃんを庇ってそれから…俺はいつの間にか無意識に階段を降りていた。すると一階に一人の女性が俯いているのを発見した。

「私もいっそ死んだ方が…」

足音に気付いた女性と目が合う。艶やかな肌に黒く長い髪、瞳は青がかっており美しいの一言で全てを表現できるような顔つきをしていた。

「ユーリ…?成功したのか…?」

悠李?何故俺の名前を知っている?すると女性が俺に向かって抱きついてきた。「わぷっ!?」柔らかい物体…おっぱいに顔を埋め尽くされる。

「成功したんだな!!」

状況が把握できないでいた。なんなんだ???成功?悠李?そもそもこの美女は誰なんだ…????「ちょっと待ってくれ!!!あんた誰なんだ?そしてここはどこだ????」まずはこの状況を把握しなければいけない。

「記憶が混濁しているのか?お前の名前はユーリ・トワイライト。我が偉大なる魔女マリー・トワイライトの弟だ。」

…は?ユーリ・トワイライト?何を言っているんだ?

「…俺は立花悠李だ…。」

タチバナ?」

あからさまに困惑されてしまった…。とりあえず俺がそのユーリ・トワイライトじゃない事を説明しなけば…

「一発芸やります!!ペンギンの鳴き真似!!ペェ~ン!ペェ~ン!」

これでどうだ!?

「ユーリ…うっ…うわぁ~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!!!!!!!!!」

急に泣き出してしまった…どうすんだコレ…泣き喚いている美女を観ているとそのユーリ・トワイライトという存在がどれだけ大切な存在だったのかが伝わってきた。俺ができることは…バレずに日常を過ごすことかもしれない…とりあえず俺は今日からユーリ・トワイライトになる事に決めた。

 

とりあえず今回はここまで。また更新する。